第2回 知る

相澤嘉久治さんに学ぶ「主体的創造的に生きること」
第2回 知る

 相澤さ嘉久治さんは会うびに「ういずyを潰してはいけない」と口癖のように言った時期があった。「可笑しげな事を言う人だな。どうして潰れるの?」と不思議に思っていた。確かに山形で月刊誌を出版することはたいへんなことだ。しかし、ういずyは山形市を中心にたくさんのスポンサーを確保しており、その数と業種の多さには驚いた。「潰してはいけない」という言葉の中身には、実は「だから潰されてはいけない」という警戒心であることを理解するには、私には数年の時間が必要だった。
 相澤さんはもうひとつ月刊「総合藝術雑誌・場」と「場通信」という機関誌も発行していた。山形の文化人と称される人たちの芸術にかける生き方を紹介し、何でも自由に書き、発言できる場を誌上で提供していた。私のように芸術などには縁のない者にとってはとても難しく、書かれている内容なども理解する前に読むことを止めてしまうことがたびたびだった。その後、この雑誌に登場する文化人の顔ぶれも徐々に寂しくなっていき、それに反比例するようにこの文化人たちは地元紙に登場する機会が多くなってくるように思えた。
 私たちは米沢で「にんげん塾」を米沢で主宰することになる。この塾の中で相澤さんは「マスコミの独占状態」について語ったことがあった。マスコミは誰のためにあるのか、マスコミの資金となる広告代は企業の社会的良心であることなど述べた。テレビの電波は郵政省からの許認可制であること、そしてラジオ、テレビなどの放送メディアの経営者は、社を超えて重複してはいけないことを述べるのだった。このような当たり前の社会常識を私は始めて知ることになる。そしてそれと相反する事態がこの山形県で起こっていることをあげるのだった。

つづく
 次回は12月15日に更新予定です。




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